京都市中心部の四条烏丸にある「京都芸術センター 」を訪問してきました。
京都芸術センターは旧明倫小学校(1997年(平成7年)までは高倉西小学校)の建物をそのまま整備・活用した施設で2000年(平成9年)にオープン しました。「芸術センター」という施設名の通り、教室は製作室や展示室として、講堂や大広間はその大きさを活かした多様な芸術表現の場として設けられています。
正面入口(奥手がセンターのエントランス)
烏丸通から一本入った室町通沿いにエントランスはあります。クリーム色の外壁にオレンジの屋根瓦、曲線を多用した窓からなるファサードは異国情緒を感じさせませす。
写真正面がビジターのエントランスになっており、左手の二階建ての建物の一階が事務局やチケットセンター、二階が講堂・大広間となっています。
事務局棟のレリーフ
ビジターのエントランスまでの小道を歩きならでも、この建物の細部に至るまで丁寧な作りが伺えます。
中に入ると直ぐに館内のどこで何をやっているのかが掲示されており、一目で分かるように工夫がされていました。
エントランスのある建物が南館となり、一階には喫茶スペースとして前田珈琲 が入居しており、その奥に博物館や美術館のスケジュール、企画展のチラシやポスターなどを掲示する情報コーナー、そのさらに奥に図書室があります。
図書室は芸術センターの図書室とだけあって、芸術・美術・映画・建築などの書籍が多く、1950年代からの美術手帖や、1970年代からの芸術新潮が閲覧できるようになっていました。
館内についてはGoogleのストリートビューもあるフロアガイド が分かりやすいと思われます。また館内については、図書室と特別の指定をされた展示物を除き、撮影は自由とのことでした。
南館二階から見たグランドと北館の様子
北館の二階から三階へのアプローチ
訪問した10月下旬現在は「京都国際舞台芸術祭2019 」(10月27日まで開催)の企画展「ケソン工業団地 」のメイン会場となっており、南館の一部の部屋(教室)と南館二階にある講堂、大広間を使い行われていました。
講堂(スクリーンにはIm Heung-soon(イム・スンフン)氏の「Brothers Peak」が上映中)
講堂はその高い天井と広い空間を十分に活用して映画上映の場として使われていました。特別な音響設備は配置していないと思いますが、音の響きや跳ね返りは劇場にいるような感覚でした。
大広間(Lee Boo-rok(イ・ブロク)氏の「Robot Cafe」が展示中)
大広間(「Robot Cafe」の展示物の一部、ミシンの後ろに座ることもできる)
講堂の奥には大広間があります。床の間と障子のある空間に、ハングルのネオンと大量のミシンが置いてあることで異質な空間を演出しており、これもまた芸術センターの目的である多様な芸術表現の場として活かされていることを感じました。
南館四階には茶室「明倫」があり、こちらでも「KACアーティスト・イン・レジデンス・プログラム 」が開催されていました。
普段は茶室としての機能も果たすのでしょうが、今回はこちらでの企画展は「幽霊」がテーマとなっており、御簾の向こうに映し出される映像や、今はなきブラウン管テレビがちゃぶ台に置かれている光景は日本的な情緒とジャパニーズホラーの特徴が融合した印象でした。
今回は施設がフル活用されている状態ではなかったですが、芸術作品を展示する、情報を発信・収集するための箱という機能を超えて、建築物そのものが展示物の一部を構成するようにも活用ができる点で非常に特色のある施設だと思われます。
今後の展開も要注目です。
<基本情報>
H P :https://www.library.chiyoda.tokyo.jp/hibiya/
住所 :東京都千代田区日比谷公園1−4
電話番号:
(代表) 03-3502-3340
(図書総合カウンター)03-3502-3343
開館時間:
(ギャラリー・図書室・情報コーナー) 10:00 ~ 20:00
(カフェ) 10:00 ~ 21:30
(制作室・事務室) 10:00 ~ 22:00
閉館日 :年末年始(12/28-1/4)、図書室は毎月末日・特別整理期間
バリアフリー(施設):多目的トイレ、エレベーター