「京都府立京都学・歴彩館」を訪問してきました

京都府総合資料館」の後継として、「京都府立京都学・歴彩館」が先日ご案内していました通り昨日12月23日に一部開館しました。当日は式典が執り行われ、ホールや展示室の公開の他に、地下の収蔵室、来年度に利用開始となる閲覧室や学習室も公開されていました。今回はその一部をご紹介していきたいと思います。

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開館日はあいにくの雨でしたが、北山通りから南に行くとその威容はすぐに目に入ります(大雨ということもあったので、館外観はまた改めて撮影します)。

式典には多くの関係や一般の招待者が出席し、ホールは満員状態でした。雅楽の演奏から、祝辞、テープカットが執り行われ、式典後半は記念講演が実施されました。当日は記念として、講演の内容でもあった京都学に関する書籍(京都学研究会編(2016年)「京都を学ぶ【洛北編】-文化資源を発掘する」ナカニシヤ出版)が配布されました。

当館は100を超えるコンペの中から、飯田善彦氏のプランが選択され、平成25年(2013年)から建築が開始されました。
建物のコンセプトは「条坊制による京都の町並み」と「重なり合う屋根」のイメージ(例えば、東山魁夷氏の絵画「年暮る」(山種美術館収蔵)のような情景か、あるいは村野藤吾氏の設計による「佳水園(ウェスティン都ホテル京都)」のような建物か)をメインに据えています。それを支える格子状に組まれた鉄骨と、多用されたガラスから差し込む光は、館内に一層の明かりと透明感を出しています。

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式典のパンフレットによれは歴彩館の特色は「世界と繋がる京都学の研究・交流拠点」、「誰もが学べる交流・発信拠点」、「京都関係の資料の収集・保存・公開拠点」と定義しており、館内の構成もそれにあった形で設計されています。

歴彩館は地上4階、地下2階からなります。地下は収蔵庫、1階が交流フロアとしてホールや展示室、学習室などがあり、2階は探求フロアとして閲覧室が設けられており、府立大学、府立医科大学の附属図書館も兼ねています。3、4階は府立大学文学部の専用フロアとなっています。

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1F交流フロアマップ(2Fから上が閲覧ブース)

当日はほとんどの施設が開放されており、年度明けに利用開始となる学習室も開かれていました。学習室は以前の総合資料館のような長机のタイプではなく、個人ごとの学習机タイプになっています。

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1階 学習室

展示室では「京都府収蔵品に見る京焼・美の探報」という企画展が組まれていました。また、小ホールでは源氏物語の図屏風、京都学ラウンジでは甜茶が振る舞われてました。

2階に上がり、吹き抜けとなっているフロアから天井を見上げると、鉄材と木材を多用していることがわかります。また、使用しているライトの数に比して、館内がかなり明るい(当日は曇天にもかかわらず)のは採光窓を各所に配置している所以かと思われます。

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吹き抜けのフロアから、一般閲覧室と府立大学・府立医科大学付属大学図書館にそれぞれアクセスできるようになっています。
開架には収蔵品の一部のみの配置となり、必要に応じて地下の収蔵庫から取り出す形となります。配布された館内マップによると、これまでの総合資料館所有の74万冊の図書資料や古文書などに加えて、府立大の保有する図書20万冊、学術雑誌2000冊も閲覧ができるようになるとのことです。

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2階 閲覧室の開架
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2階 閲覧室の開架
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2階 府立大学・府立医科大学付属大学図書館

3階と4階については府立大学の文学フロアということもあり、共同研究室や実習室などが設けられていました。

一方、地下の収蔵庫は地下1階がハイキャビネットの書庫、地下2階は集約形式の書庫になっています。国立国会図書館と同様に、気温湿度管理されているとのことです。また、特定資料収蔵庫には木で作られた棚と、湿度を吸収する壁材を利用するなど、一般の閉架よりも気が使われていました。ちなみに貨物用エレベーターはフォークリフトごと入れるほどの巨大なものでした。

今は開館時間も利用可能スペースも限定されていますが、来年3月からは本格利用が開始され、平日なら夜の21時まで利用することができるということもあり、学生だけでなく仕事帰りの会社員なども利用する機会が増えるかもしれません。
研究拠点としてだけでなく、先の特色で述べたように「誰もが学べる」空間として根付くことを期待しています。


<基本情報>
H P   :http://www.pref.kyoto.jp/rekisaikan/
住所  :京都市左京区下鴨半木町1-29
電話番号:075-723-4831
開館時間:
(平成29年3月末まで)9:00-18:00
(平成29年4月から) 9:00-21:00(土日は17:00まで)
閉館日 :
(平成29年3月末まで)土曜 、日曜 、祝日、年末年始(12/28-1/4)
(平成29年4月から) 祝日、毎月1回、年末年始(12/28-1/4)、蔵書整理期間
バリアフリー(施設):多目的トイレ、エレベーター
バリアフリー(図書):音声読書機、拡大読書機、点字図書(予定)

「京都府立京都学・歴彩館」を訪問してきました」への3件のフィードバック

  1. […] 昨年は施設訪問や記事紹介など、相変わらず少しずつではありますが活動をして参りました。特に昨年は4月に全面開館した「京都府立京都学・歴彩館」の訪問記事について多くの方に興味を持って頂きました。ありがとうございます。本年も一層皆様の生活に彩りを添えることができるように邁進して参ります。そして改めて、当会の目的である居心地のよい空間としての「座」を思考して参ります。 […]

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